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轟け!サブカル女子

上京を夢見るサブカル女

友達にマルチ勧誘された結果、知らないビルで軟禁された話

体験記
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f:id:ok723:20150726205450j:plain年齢によって、怖いものの対象というのは変わっていくように思う。幼い時に怖かったのは、幽霊やお化けなど未知の物だったけど、最近では「生きている人間が一番怖いなぁ」とひしひしと実感する。

これは、私が20歳の時に経験した実話。

20歳のある日、当時付き合っていた恋人と友人カップルの4人でダブルデートすることになった。3人はバイト先が一緒だったらしい。AくんとBちゃんとはその日が初対面だったけど、2人とも気さくで雰囲気もよく、私もすっかり打ち解け、その日は楽しい1日になった。

別れ際に「せっかく知り合えたんだし、これから仲良くしよう♪」と言われ、Bちゃんと連絡先を交換することに。こういう出会いは今までなかったので、凄く嬉しかった。

ダブルデートから数日が過ぎたある日、Bちゃんから連絡が。

「やっほー!元気?今度ゆっくり2人でご飯でもいこーよ(^^)♪」

すぐに「いいよー!いつにする?」と返信をして、Bちゃんと会う日程を決めた。

新しく友達が出来た嬉しさに、その時の私は完全に舞い上がっていた。 

その後、軟禁されるとも知らずに。
 

約束当日、Bちゃんはダブルデートの時と同じく、爽やかな笑顔で私を出迎えてくれた。「何食べたい〜?」と聞くと「私お気に入りのお店があるんだけど、たっつん連れて行きたいからそこでもいい?」と言われたので、その店へ向かうことになった。

Bちゃんに誘導されるような形で歩いていく。

「なんていうお店なの?」
「…あ、着いてからのお楽しみ!」

お店の名前は教えてもらえなかった。

田舎から都会に出てき始めたところで、周辺地域のお店を全然知らなかった私は「どんなオシャレなお店に連れて行ってもらえるんだろう〜!」と、わくわくしながら歩いていた。

喋りながら歩く事数十分、あるビルの前に着いた。

「着いた!ここだよ!」とBちゃん。

  

え?このビルの中?

 

確かにビルにテナントとして飲食店が入っているパターンは、都会ならたくさんある。でも、表には飲食店らしき看板や広告がまったくない。おまけに人気もまったくなかった。

 

鈍感な私でも、さすがに気づいた。

 

(なんかおかしいぞ)

 

「どうしたの?」

Bちゃんは相変わらず笑顔だ。

新しく出来た友達を疑いたくない気持ちでいっぱいになった私は、Bちゃんを信用してビルの中に入って行くことにした。

あがっていくエレベーターの中で

(あぁ…やっぱりいけないところに来てしまった気がする…)

と考えていた。心臓がばくばく鳴り始める。さっきまで爽やかに見えていたはずのBちゃんの笑顔が、急に不気味に見え始めた。沈黙のエレベーターの中で、階数を示す数字だけがちかちかと点滅している。

無言のままエレベーターを降りると、目の前に長い廊下が広がった。人気は全く無く、やはりこんなところに飲食店があるはずがないと確信した。 

 完全にハメられた

とようやく気づく。どうしてビルに入る前に引き返さなかったんだろう。

誰がいるかわからないビルで、ひとり引き返してエレベーターに乗る勇気もなく、正しい対応をする判断力もなかった私は、ただただ友達のBちゃんに付いていくしかなかった。

「ちょっと、会って欲しい人がいるんだ!」

と開けられたドアの中には、普通の部屋が広がっていた。当然食事するテーブルもなければ店員さんもいない。壁沿いのショーケースにはブランド品がズラーっと並べられている。

「ちょっと待っててね♪」

と一人にされる。どうしようか。今のうちに逃げ出そうか。

でも、Bちゃんに言われるがままに着いてきたのと、途中から混乱していたせいで、帰り方どころかエレベーターの場所すらわからない。なにより怪しいビルで一人ぼっちになるのが怖かった。

ただ食事をしたかっただけなのに…と半泣きになっていると、Bちゃんが見知らぬ男性を連れて戻ってきた。

警戒していたら、その見知らぬ男性は、はねトびのグローバルTPS物語の秋山のような口調でべらべらと喋り始めた。

話された内容は全く覚えてないけど 

『この稼げるシステムを色んな人に広めようよ!そしたらあなたにもたくさんのお金と幸せが舞い込むんだよ!!!』

というような事だった。

 

マ、マ…

 

マルチじゃねえかっっ!!!

 

Bちゃんが「私も正社員なのに給料少なくて困ってたんだけど、このシステムの会員になってから、凄く稼げるようになって幸せなんだよ!!!たっつんも会員になろうよ!!!」と、アブちゃんばりの笑顔で話しかけてくる。目がギラギラしていて怖い。さっきまでの面影はもうなかった。

話しを聞いているふりをしながら

(どうやって、この場をやり過ごそうか…)

という事だけを考えていた。いつの間にか契約の話になっていて「契約するまで、帰れないよ^^」と背後に来たBちゃんに爽やかに告げられる。

やばい。

これはやばい。脅しじゃねぇか。
 

「いや…でも印鑑もないし…」と逃げようとすると

「指紋でも大丈夫だよ!!!」と食い気味で言われた。

怖えよ!!!目が死んでる!!!

 

(どうしよう。どうやってこの場を切り抜けよう。っていうか、誰がこんな怪しい場所で怪しい書類書くかよ。バカかよ。あぁ、怖いの通り越して面白くなってきた。なんで友達だと思ってた子にマルチ勧誘されてんだ私。あぁ、いまごろお洒落にパスタなんか食べて談笑しているはずだったのに。こんなことなら家で納豆ご飯でも食べてたほうがよっぽど良かったわ。)

と、脳内でいろんなことを考えていると、段々バカバカしく思えてきた。怖さよりも友達に騙されたという事実が悲しかった。

「とりあえずさ!サインしなよ!」と言ってくるBちゃんに

(誰がするかよバーカ!)と思いつつ「へぇ〜!聞いてたら興味出てきたから、まずセミナーとかに参加してそれから契約したい!!!」と口からでまかせを言いまくった。

「そうかぁ!!!いいねぇ!セミナーはたくさん開催されてるし、いつでもいいよ!日にち書いた紙渡すね!!!」と男性から渡された紙を適当にかばんにしまい、Bちゃんと一緒にその部屋を出た。廊下にズラッと並ぶドアを見て、このたくさんの部屋の中で同じような事が行われているのか…と思うと気持ち悪かった。

「ほんとに良いシステムだからさっ!!!これから一緒に頑張ろうね!!!!!」と笑うBちゃん。もう目を合わせられなかった。

「ごめんね!お腹空いたよね!付き合わせたおわびに私がおごるよ!お店いこっか!」と誘われたけど、これ以上関わりを持ちたくなかったので「ごめん、ちょっともう門限だし帰らなきゃ…」と断り、駅まで早歩きで帰った。ビルから駅までどう歩いたか覚えてない。

Bちゃんとバイバイしてから、慌てて連絡先を消して帰路に着いた。
おかんには「騙されて着いていったの?バカだねぇwww」って全然心配されなかった。

それ以来、Bちゃんとは会っていない。私も当時の恋人とは別れてしまったし、友達カップルも別れてしまったから、その子が今どうしているのかも知るすべはない。

と思っていたら、最近、LINEの「友達かも?」というところに、Bちゃんのアイコンが現れてゾッとした。マルチーズのような犬を抱いてニコニコしている。マルチで儲けたお金でマルチーズってか…。

幽霊よりも人間の弱い心や悩みによって、引き起こされる狂気のほうが生々しくてよっぽど怖い。お金は大事だけど、お金に目が眩まないように生きていこうと強く思った、私のゾクッとした経験でした。
 

www.youtube.com

山本みたいにならなくて良かった…。
 

 今週のお題「ゾクッとする話」