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【ネタバレ】映画『シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人』経済成長の先に果たして幸せはあるのか?

映画 サブカル はてブ20以上
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「シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人」をテアトル梅田で見てきました。

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shirley-hinda.com

92歳と86歳のアラナイコンビが「経済成長とは一体何か」の答えを求めて、経済の中心NYのウォール街まで飛び出していく様子を追ったドキュメンタリー映画だ。

舞台は経済大国アメリカ。『国は破綻し、社会保障費が確保できず、退職者に年金を支給することも出来なくなりました。多くの人が職を失い、住む家も失くしました…』というセリフからスタートする。
自分の暮らす国はずっと経済が低迷し続けている。「このままで孫の世代は幸せに暮らしていけるのか」と現在の経済に不安を募らせるシャーリー。

ある日2人は買い物を終えた後、シャーリーの親友ヒンダはシャーリーにこう問いかける。

「経済成長の為にはどんどん買い物をしろと言うけど、物が増えて幸せ?」


シャーリーはその問いに答えることが出来なかった。本当にたくさんの物を買えば経済は成長するのか。2人はその答えを求め、貪欲に行動を起こしていく。単なる「歳をとっても私たちはアクティブで元気!とってもハッピー!」みたいな脳内お花畑な内容かと思いきや、2人のキャラクターに触れられるシーンは割と少なく、経済専門用語が飛び交ったりと経済に焦点が当てられた内容だったのはちょっと予想外だった。

正直、私にはちょっと難しい内容だった。経済用語などを交えながらストーリーが進んでいくので、言ってるセリフを理解するのに時間がかかる場面もあったけど、いわゆる「ミニマリスト」と呼ばれる方々の考えに似ているなぁと思いながら鑑賞していた。ミニマリストの方や経済に興味のある方におすすめしたい映画。 

知的欲求が2人を突き動かす

主人公の2人は電動車椅子で生活している、その辺にいる普通のおばあちゃんだ。これがフィクションでなく、ノンフィクションであること。作り話でなく高齢の2人が実際に行った事を映画として伝える面白さがある。
2人が他の人と違っていたのは「揺るがない知的欲求」と「熱い好奇心」を持っていた事だけ。体が少し不自由でもそれをネガティブに捉えることなく、まずはなんでもトライしてみようという前向きな姿勢を持っていた。

「経済成長とは一体何なのか」
「経済成長の先に、自分達の幸せはあるのか」

2人は教授や経済アナリスト、学者達に会い、話を聞き「経済とは何か」と問いかける。大学に出向き、経済学を受講する事も「授業の妨害だ」と邪険に扱われ、すぐさま退出させられてしまう。ここでもへこたれる事なく文句を言いまくる2人がかっこ良かった。

国内総生産=国民の裕福度なのか?

作中にはGDPという言葉も出てくる。国内総生産と呼ばれるものだ。国内総生産…よくわかんないから2人と同じくグーグルで調べてみた。

GDP=国内総生産とは、日本の国内で1年間に新しく生みだされた生産物やサービスの金額の総和のことです。 GDPはその国の経済の力の目安によく用いられます。 また、経済成長率はGDPが1年間でどのくらい伸びたかを表わすものです。 経済が好調なときはGDPの成長率は高くなり、逆に不調なときは低くなります。

GDPとは?-経済|経済産業省

それから2人はロバート・ケネディの演説をYouTubeで見ることに。

アメリカのGNPはいまや年間8000億ドルを超えている。
この国内総生産からアメリカの何がわかるだろう。
この数値には大気汚染やタバコの広告費用、遺体を運ぶ救急車も含まれ、
銃やミサイル、市民の暴動で警察が使用する装甲車も含まれている。
しかし、子供の健康や教育の質は数値には一切計上されていません。
また詩の美しさ、夫婦の絆の強さもこの数値で測ることは出来ない。
国内総生産で人生の価値を示すことは不可能なのだ。
GDPは人生で生きがいを感じるもの以外を評価するものであり
アメリカ人であることを誇りに思う理由を、GDPでは説明できないのだ。
Robert F. Kennedy challenges Gross Domestic Product - YouTube

つまり国内総生産とは経済成長を表す数字でしかなく、人々の幸福度や満足度、心の充実感を表す数値ではないということ。
先進国であるには経済成長が絶対必要というけれど、国民一人一人の幸福を投げやりにしてでも必死で発展させなければいけないものなのだろうか。

演説はアメリカの事を語っていたけど、日本もその後を確実に追っている。

「休み返上して体を壊してでも働け」
「早く結婚して家庭を持て」
「莫大な借金してでも家を買え」

「なぜしなきゃいけないの?」
「なぜなら今までそうして発展を繰り返し、文明を紡いできたから」

経済の発展を願い、必死で自分をすり減らして今以上これ以上を求め働きまくったその先に、果たして幸せはあるんだろうか。体の丈夫な人はそれでもやっていけるだろうが、無理しすぎて体を壊した人、鬱になった人、それが原因で自殺してしまった人がたくさんいる以上、これが100%正しい選択とは思えない。幸せになるためにしているはずの事で自分を追い詰めているなんて。

すぐに職を辞めたり、ニートと呼ばれる若者が増えた。男性が働かない時代は過去に今までなかったとおじさん世代は嘆く。

「これだからゆとり世代は」
「最近の若者は甘えている」
「我慢が足りない」
「俺らの時代はもっと厳しかった」

かつてモーレツ社員と呼ばれ、会社に忠誠を誓い、がむしゃらに働きまくった人達を思えば、今の若者はどうしてしまったんだと嘆きたくなる気持ちもわかる。が、こういった現状は今まで「みんなそうだからこうすべき」「大学に入り、就職活動して就職し、結婚して家庭を持つべき」「そうじゃない人はダメ人間で屑だ」とされてきた基準に対して若者達が「本当にそれでいいのか?」「本当にそれが幸せの形なんだろうか」「他の生き方もあるんじゃないか」と疑問を持ち始めたからではないだろうか。

社会的な発展よりも個人の幸福度を上げる為へとシフトすべき時代なんじゃないだろうか。日本が先進国なのに自殺者が多い要因はこの辺にありそうだ。

 

未来が想像出来ないバクテリアと人間達

映画の中で印象に残ったのは物理学者のバクテリアの話だった。

『1分で倍に増えるバクテリアを一つ瓶に入れる。11時から12時までの1時間でその瓶が満杯になるとしたら、その瓶が半分になるのは何分後か?』


この問にシャーリーは「59分後よ」と即答。彼女がクレバーな人物である事がわかるシーンだった。

更に質問は続く。

『では、バクテリアたちは何分前に、瓶が自分たちで満杯になることに気づくだろうか?』


消費され続ける資源に増加し続ける人口。専門家達の「化石燃料の消費率をあげても問題ない、新しい燃料はいつか発見されます」などの発言がいかに矛盾したものかわかる。バクテリアと同じく、人間たちも自分たちの未来はおろか1分後を予測することも出来ないはずなのに。
たくさんの物と食べ物に溢れているのに、一向に満たされることのない果てしない欲求。一体いつまで地球は資源が持つんだろう。日々自分の生活で精一杯で考えたこともなかった。今はこれでもいいだろうけど、もし結婚して子供が出来たら考えは変わるだろう。シャーリーと同じく愛する子供が安心して暮らせる世界にしたいと。

始めるのに遅すぎることはない

物理学者に「こんな話はもう何十年も前から討論されていたことだよ。気づくのがえらく遅いね」と言われるもヒンダは「始めるのが遅くても、きちんと自分の頭で考えてみることが大事なのよ」と言い返す。

年齢を重ねてから何かを始めるのはとても勇気がいる。

「今までしてこなかったの?」とか「始めるには遅すぎる!」とか言われてしまうからだ。でも、自分が本当に知りたいこと、好きなこと、追求したいことなら年齢なんて関係ない。今すぐ考えて行動して始めてみるべきだ。もしかしたら自分の努力や考えが誰かに伝わって、何か化学反応が起きるかもしれない。ウジウジと愚痴るのはやめて、今すぐチャレンジしてみなよ。と、この映画は後押ししてくれる。

価値をどこに見出すか

シアトルからはるばるNYへ飛ぶことを決意し、最終的に彼女らなりの「経済成長がもたらすもの」の答えを出す。歩くこともままならない車椅子のおばあちゃん達がここまで行動を起こしているのに、もう若くないからと言い訳してウジウジと留まっている自分が少し恥ずかしくなった。アラナイに比べればアラサーなんてまだまだひよっこみたいなもんだ。自分には思い通りに動く足も健康な体もある。2人のように世界経済を変えるなんて大それた事じゃなくても、自分の好きなことを求め、会いたい人に会いに行こう。まずは自分の世界から変えよう。自分の好奇心や知的欲求にもっと貪欲になろう。

そして「量に価値を置くのではなく、質に価値を置くのだ」と教えてくれる映画でした。

「量ではなく質に価値を置く」そんな事を考えながら、ホテルのビュッフェでお皿いっぱいに盛られたどれも微妙な料理をたらふく食べるという自分の矛盾具合に少し泣きたくなったのはここだけの話。



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